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日本全国 酒の肴巡り

ふぐの卵巣を2年間熟成・発酵させた石川県の珍味、ふぐのこ糠漬 ふぐの卵巣を2年間熟成・発酵させた石川県の珍味、ふぐのこ糠漬 昔ながらの製法を守り、木樽でじっくり寝かせてつくる(写真提供:いしかわや) 昔ながらの製法を守り、木樽でじっくり寝かせてつくる(写真提供:いしかわや) プロの手によって、一つ一つ手づくりで丁寧に樽漬けされる(写真提供:いしかわや) プロの手によって、一つ一つ手づくりで丁寧に樽漬けされる(写真提供:いしかわや) 切る前のふぐのこ糠漬。火に炙ったりホイル焼きにすると卵がほぐれやすくなり、それをお茶漬けにして食べても旨い 切る前のふぐのこ糠漬。火に炙ったりホイル焼きにすると卵がほぐれやすくなり、それをお茶漬けにして食べても旨い パッキングされた商品はインターネットでも購入が可能だ パッキングされた商品はインターネットでも購入が可能だ

第四回 これぞ、発酵の妙味 猛毒のふぐの卵巣が高級珍味に ふぐのこ糠漬(ぬかづけ)

 「この味、何の糠漬けかわかりますか?」
 石川県のとある小料理店で店主がそっと出してくれた小皿には、地元の珍味が小ぶりに盛られていた。
 からすみや明太子、あん肝のように、魚の内臓であることはなんとなく分かる。箸で小さく切って口に運ぶと、そのかなり塩の効いた糠漬けは魚の卵独特のねっとりと舌に余韻を残す濃厚な味わい。長い期間じっくりと熟成された発酵食品ならではのコクが、酒の肴としての魅力を十分に発揮している。
  「これ、ふぐの卵巣なんですよ」と種明かしをして、「それって毒があるんじゃないの~」と驚くこちら側の反応を楽しんでいる店主。旅行客相手に、たびたび同じような会話を繰り返しているのだろう。この石川県名物の珍味について、分かりやすく説明してくれた。
 それによると、この珍味は「ふぐのこ糠漬」と呼ばれ、地元では古くから、いわしやさば、にしんと同様に糠漬けにして食されている伝統の味だという。原料であるごまふぐやさばふぐの卵巣には猛毒があるというが、糠漬けにして2年、その間いわしのエキスなども加えながらじっくり発酵・熟成させるとその毒も消えて、なんとも滋味のある酒の肴になるそうだ。どうして糠漬けにすると毒が抜けるのか、科学的にはまだ解明されていないというのが面白い。死に至る毒のある食材を食べられるようにした先人の知恵もすごいが、それを食べようと思った勇気と食い意地にも感服する。
 この石川県の珍味を地元の日本酒に合わせて楽しみながら、これは泡盛にも合うと即座に思った。

泡盛の甘さを引き立てる濃厚な味わい

 後日、沖縄にそれを取り寄せて試してみる。水割りの泡盛には当然相性がいいが、10年物クラスの古酒をちびりちびりとやりながら、少しだけふぐのこを箸で削ってなめるのもうまい。塩気が強くて濃厚な味わいが、泡盛の甘さをより引き立ててくれるのだ。
 さらに、3~5年クラスの古酒43度を水で割り、15度~20度くらいのアルコール度数にしたものをボトルに入れて冷蔵庫で適度に冷やし、これまた冷たくしたグラスに注いで試してみた。うまいのである。前割りにしたこともあって泡盛古酒がよりまろやかに甘くなり、いい感じなのだ。こういう飲み方だと、ふだん日本酒を飲んでいる方々にも泡盛を楽しんでもらえるのではないだろうか。
 これから寒くなると、泡盛のお湯割りもおいしくなる。それにもこのふぐのこ糠漬はきっと合うに違いない。古酒43度のように度数の高い泡盛は、熱々のお湯割りにすると揮発するアルコールが気になることもあるので、お湯に泡盛を注いで温度が40度~45度くらいの温めのお湯割りが、個人的にはお勧めである。
(ふぐのこ糠漬の製法の解説や写真について、今回はいしかわやさんにご協力いただきました。ありがとうございました)

今回の食材

ゴマフグ

北海道南部以南の黄海~東シナ海に生息。胸びれ、尻びれは黄色く、体は小棘におおわれていて、体長45センチ前後になる。大型のフグではあるが、やや水っぽく、安い価格で販売されている。身の方も糠漬けや干ものに加工されるが、今回紹介の石川県「ふぐのこ糠漬」のほうが有名な食材。身はクセのない味わいで、汁にしていいだしがでるので鍋の具としてもおすすめ。

今回の都道府県

石川県

面積・4,185.66平方キロメートル
人口・1,166,605 人(H23.9月現在)
かつては加賀百万石の城下町として栄えた現在の金沢市周辺には史跡・名所なども多いが、能登半島にはまた違った名物・風物・観光名所が数多くある。輪島塗、山中漆器、金沢漆器、九谷焼、加賀友禅、金沢仏壇など数々の国指定伝統的工芸品が有名。海の幸にも恵まれ、能登半島では名物の魚醤「いしり」を使った料理も名高い。

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