日本全国 酒の肴巡り

砂肝を味噌で漬け込んだのがずりみそ。薄めに切って酒の肴に

第六回 ずりみそ

 特産品にはなりにくいけれど、昔ながらの伝統料理として各家庭で引き継がれていく地域独特の料理というものがある。沖縄でいえば、例えばアンダンスー。直訳すれば「あぶらみそ(脂味噌)」。昔ながらの作り方では、脂身の多い豚肉を炒めてラードを取ったあとの、いわば残りものの肉を味噌と砂糖、泡盛などを混ぜて炒めた料理である。現在ではラードを家庭で取るケースが少ないので、豚肉をそのまま炒めて作ることが多い。
 いわゆる家庭の味なので、「あぶらみそ」として商品化されてもヒット商品となることはなかったのだが、健康志向が根強い昨今、「あぶら」では印象が悪いと「豚肉みそ」とネーミングを変えたとたんに、某コンビニのおにぎりの具材に使われるなど、いきなり全国的に名が知られるようになった。
 おなじように、「ずりみそ」は宮崎県に伝わるおばぁちゃんの味だという。家庭料理なので、居酒屋などで名物になるほどのメニューではなかったが、最近これが商品化されてネットなどで紹介されるようになっている。
 「ずり」とは鶏の砂肝のことだという。これを下処理し、ボイルして、味噌に漬け込んだものが「ずりみそ」である。
 泡盛は味噌との相性ももちろんいい。これはいけそうだと、さっそく泡盛の肴にしてみた。

甘めのずりみそは古酒の水割りで

 少し甘めの味噌に漬かったずりみそは、やはり少し甘みが感じられる泡盛古酒との相性がいい。5年物クラスの43度の古酒を、氷を入れない水割りで20度くらいの度数に割り、それを飲みながらだといくらでも箸が進む。ずりみそは味噌に漬けられていたためか、砂肝独特のこりこりっとした歯ごたえが柔らかくなっていてうまい。
 後日、ずりみそのゆずポン酢風味や薫製などもあると知り、沖縄に取り寄せてそれに合う泡盛を選んでみた。ゆずポン酢風味は、やはりさっぱりあっさりとした味わいが特徴なので、これは泡盛の水割りやソーダ割りなどの肴としてもおいしい。もう一つの薫製は、ほのかなスモーク香に樽貯蔵の泡盛が良く合った。水割りでもよし、泡盛ハイボールに合わせてもよし。薄切りにしているので、おつまみ感覚で食べられるのだ。
 焼き鳥屋でしか食べたことのない砂肝も、調理法を変えればいろいろと楽しめることを宮崎県の特産品に教えられた。もうちょっとあっさりした風味がお好みの方は、下処理した砂肝を酒とショウガ、少量の塩を入れた水でボイルし、レモンと塩をさっと振り掛けて食べてみてはいかがだろう。これは水割りにもソーダ割りにも、ロック、古酒……どんなふうに飲む泡盛にも合うのだ。

今回の食材

鶏の砂肝

砂肝とは鶏の胃袋の一部で、“砂嚢”という部位のこと指す。砂嚢はピンポン玉くらいの大きさの小袋で、分厚い筋肉の壁にこぶのような突起がある。コリコリした食感と、鉄分や蛋白質を多く含んだ低カロリーな食材として知られている。

今回の都道府県

宮崎県

面積・7,735.99平方キロメートル
1,130,923人(H23.10月現在)
日本有数の農業県である宮崎県。東国原前知事が全国区にしたマンゴーのほかにも、ダイコンやキュウリ、ピーマンなどの生産高も常に国内では上位。また日向灘で捕れる海産物の加工品も有名で、宗田鰹やちりめんなどが知られる。名物料理の「冷汁」は、いまや全国的に有名になった。

重要なお知らせ

よくある質問

オンラインショッピング

泡盛百科 携帯サイト