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日本全国 酒の肴巡り

ゴンド干し。塩味がほどよく、肉の旨味が濃厚。軽く炒めるだけで、酒のつまみになる。

第八回 紀州の珍味、ゴンド干し

 日本人と鯨の関係は古い。縄文時代の遺跡から鯨の骨が発見されているし、古事記には日本初代の天皇・神武天皇(紀元前600年ごろ)に鯨肉を献上したという記述もあるという。このようなことからみても、鯨漁はかなり昔から日本各地で行われていたに違いないが、その手法を劇的に変えたのが和歌山県太地町の猟師たちだと言われている。1600年代に、鯨漁専用の銛を開発し、さらには巨大な網を使った捕鯨方法を考案したというのだ。いわば、それゆえ、日本における組織的捕鯨の発祥の地ともいわれているらしい。その地には鯨の骨で作られた鳥居のある神社もあるというから、いかに地域の暮らしと鯨が密接につながっているかがうかがえる。
 その太地町の名物が、ゴンド干しである。マゴンドウ鯨の干し肉のことだ。これを一口大に切って炒めたり、火で炙ったものにマヨネーズやレモン汁を振り掛けて食べたりするのが一般的らしい。
 その名物・ゴンド干しを、炒めて、ぱらりとネギを散らしただけの、シンプルな料理方法をいただいた。
 干すときにしっかり塩を振っているので、単に炒めただけでもしっかり味はついている。歯ごたえは、まさに肉である。少し厚めで軟らかいビーフジャーキーといえば想像していただけるだろうか。かむごとに旨味が口の中に広がる。

鯨の塩味が泡盛の甘味を引き立てる

 鯨ならではの個性的な風味、ちょっと強めの塩味が、泡盛にもよく合うのだ。独特の味わいがあるので、年代物の古酒よりも、一般酒(貯蔵3年未満)の泡盛の水割りがいいと感じた。ゴンド干しをひと口食べて泡盛を飲むと、肉の塩味が酒の甘味をより引き立てる。それに、すっきりとした味わいの泡盛の飲み口が口の中を一度リフレッシュしてくれるので、次にまたひと口食べたときのおいしさが際立つのだ。
 少し薄切りにしたゴンド干しを、軽く火で炙ってマヨネーズにつけて食べてみた。食べた感じはジャーキー、あるいはベーコンのような薫製肉に似ている。これには、樽貯蔵で少し琥珀色を帯びた泡盛の水割りなども合いそうだ。フルーティーな香りが特徴の減圧蒸留、あるいはそれと常圧蒸留の泡盛をブレンドしたタイプの口当たりのやわらかい泡盛を水割りかソーダ割りにして合わせてみるのも、きっとおいしいはずだ。

今回の食材

マゴンドウ鯨

マイルカ科の属するクジラ。日本近海に生息するコビレゴンドウの亜種のひとつとされている。古式捕鯨発祥の地・和歌山県太地港では、マゴンドウ鯨のゴンド干しや骨ハギ(鯨のスペアリブ)などが欠かせない食文化として大切にされている。

今回の都道府県

島根県

面積・4726平方キロメートル
人口・995,481人(H23.7月現在)
世界遺産の熊野古道がある和歌山県。和歌山市は日本一密集した古墳郡を有する街としても知られている。農産物ではみかん、うめ、かき、はっさくなどの出荷量が日本一。ユニークなところでは蚊取り線香の生産量も全国一である。海と山の豊かな自然にも恵まれており、サンゴの生息北限地としても有名。

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