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日本全国 酒の肴巡り

糠から取り出したばかりのへしこ。 まずはたっぷりの糠を適度に取り除く。この糠だけでもおいしいので、味噌汁にしたり、お茶漬けの出汁にしたり、いろいろ試してみるのもいい。 適度な大きさに切り分け、水洗いしてそのまま食べたり、炙ったりする。 へしこ。このままだと少ししょっぱいが、酒の肴には最高だ。

第九回 福井県の名物、へしこ

 その昔、若狭の国で捕れた鯖を塩漬けにし、京都まで徒歩で運んでいた道を「鯖街道」と呼んでいたという。寝ずに歩いて運べば、京都に着くころにはちょうどよい味になっていたとか。それくらい苦労して行商しても採算がとれたのだろうから、若狭国の鯖は京都ではかなりの人気商品であったに違いない。
 若狭国といえば、現在の福井県南部あたり。この地域で鯖といえば、塩漬けよりもむしろ米糠につけて熟成させる「へしこ」の方が有名だ。若狭湾で水揚げされた鯖を一週間ほど塩に漬けて水分を出し、それを米糠に入れて4~6カ月(人によっては1、2年も)ほど発酵させた、この地域に古くから伝わる保存食である。
 しっかり熟成しているから肴の生臭さはまったくない。発酵した魚独特の複雑な旨味、米糠の甘味、ちょっと濃いめの塩味、それらがうまく重なりあって、実においしい酒の肴になるのである。

軽く火で炙って古酒の“あて”として

 たべるときには、鯖の身を3枚におろし、刺身を切るように食べやすい大きさに切り分ける。それから、糠を軽く落として火で炙ってもいいし、糠を水洗いしてそのまま食べるのもいい。もともと塩がしっかりきいているので、少しくらい糠を落としたくらいでは旨味は消えないのだ。
 軽く火で炙ったへしこは、少しずつ箸でつまんで(沖縄でいえば豆腐ようを食べるような感じで)、泡盛の古酒のあてにするのもいい。発酵食品独特の、甘さと辛さがうまくからみ合ったコクが、古酒の甘味をより引き立ててくれる。また、水で糠を適度に落としたへしこは、そのまま刺身のように食べられるが、これは泡盛のお湯割り、氷を入れずに水だけで割った泡盛に合わせてもおいしい。
 また、へしこの身をほぐして、水にさらしたタマネギの千切りと和えるだけの簡単なサラダもおいしい。これに合わせる泡盛は、やはり水割りだろうか。
 へしこは、最後のシメでお茶漬けにしてもうまい。ごはんの上にほぐしたへしこを置き、白ごまや刻み海苔を散らし、お茶を注ぐだけ。好みで梅肉を加えると風味が増す。
 それにしても、なんで鯖の糠漬けを「へしこ」というのだろうか。調べてみると、地元の漁師たちの言葉で、魚を樽に漬ける行為を「へし込む」と言うそうだ。そこから、樽漬けされた鯖の保存食を「へしこ」と呼ぶようになった、というのが有力な説らしい。

今回の食材

スズキ目サバ科のうちのサバ属、グルクマ属、ニジョウサバ属に分類される魚の総称。通常、サバと言ったらマサバを指すことが多く、 日本各地の沿岸に広く分布し、比較的古くから食用として捕獲されている魚として親しまれている。若狭では鯖の他、鰯、いか、ふぐなどを使った「へしこ」も食べられている。

今回の都道府県

福井県

面積・4,189.83平方キロメートル
人口・802,688人(H24.1月現在)
面積の約75%が森林や原野という自然豊かな福井県。越前漆器や手すき和紙など、日本を代表する伝統工芸品の生産量は日本一である。コシノヒカリが誕生した土地でもあり、農業の中ではやはり米づくりが盛ん。海の幸にも恵まれ、冬場の越前ガニやブリは福井県を代表する特産物。また、鯖を糠漬けした「へしこ」や寒風に干して旨味を凝縮させた若狭ガレイなども名物だ。

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