濾過で変わる酒の味

蒸留したばかりの泡盛には、水とアルコール分以外に、高級脂肪酸などのさまざまな成分が含まれています。これがコクになったり、古酒香に変化していく成分であったりするわけですが、あまりにも個性が強すぎると玄人受けはしても一般にはやや飲みにくい酒になったりもします。

そこで、泡盛の製造過程で行われるのが、ろ過。不溶物はもちろん、適度に余分な成分を取り除く作業です。泡盛にさまざまな味わいがあるように、ろ過の方法、種類もいろいろです。

例えば、古酒にしたい泡盛の場合は、その中に含まれている成分をできるだけ残したいので、常温で軽めのろ過。蒸留後、比較的すぐに飲んでもらいたい(といっても多くの泡盛の場合は半年から1年は熟成させた後にビン詰めするのですが)泡盛の場合は冷却ろ過、というのが一般的ではないでしょうか。

ただ、実際に酒造所で行われているろ過は、それぞれの酒造所、あるいは銘柄によってもかなりの違いがあります。
ろ過の装置ひとつとっても、布製の簡単なものや、活性炭フィルターを使用するもの、中にはイオン交換樹脂を使ったろ過などがあります。さらには、これらの装置を使ってどれくらい時間をかけてろ過するか、その時間も製品の酒質には大きく影響してきます。

ろ過にかける泡盛の原酒の温度も重要です。例えば、脂分を多く含んだお汁が冷えると、表面にその脂分が固まって出てきますね。泡盛の原酒も温度を下げてろ過すると、そのような成分が効率良く取り除かれるのです。 その冷却温度やろ過時間も、酒造所や銘柄によってさまざま。それだけ、各酒造所は試行錯誤を繰り返し、これだ! と自信を持って消費者に届けられるような泡盛造りに取り組んでいるのです。