味わいの幅が広い泡盛

泡盛、とひと口でいっても、その味わいは実にバリエーションに富んでいます。新酒のうちに飲んでおいしい泡盛もあれば、じっくり年月をかけて熟成させた古酒もあります。アルコール度数もワンカップタイプの数パーセントから、与那国島の60度のお酒まで、実にさまざま。ですから、それぞれの泡盛におすすめの飲み方もいろいろとあるのです。

熟成3年未満のいわゆる一般酒の飲み方は、沖縄では水割りが圧倒的多数派。水割りにすると、泡盛の度数が15度以下になります。日本酒やワインなど、その他の食中酒とほぼ同じくらいです。鹿児島の芋焼酎は、よく6:4のお湯割りでといいます。芋焼酎はほとんどが25度ですから、この割合で割ると、やはり15度前後になり、食事に合わせやすいのですね。

当時は東京農業大学教授で、発酵食品の専門家である小泉武夫先生は、2006年に開かれた泡盛学会設立の記念講演で「泡盛の水割りは最高の食中酒だ」というお話をされました。
かつての臭い、強いというイメージは、現在の泡盛にはありません。それよりもむしろ、米を原料にしているために、芋や麦などを原料にしたお酒に比べて、料理の味を邪魔しない風味が、泡盛の水割りの大きな特徴なのです。
これはほんの一例ですが、築地には、料理の香りを大事にしたいからと、日本酒と米焼酎、それと泡盛以外は置かないというお店もあります。泡盛は30度の減圧と常圧のブレンドタイプの銘柄を水割りで出しているとのことでした。

食事を楽しみ、あとはおつまみ程度で……というころから、ロックに切り替え、泡盛本来の香りや味を楽しむのも乙なものです。一般酒でももちろんいいのですが、より泡盛の深みを楽しみたい人には、3年、5年といった古酒のロックもおすすめです。

10年以上の古酒は、まずはやはりストレートでじっくりゆっくり味わっていただきたいもの。空気に触れているうちにゆっくりと甘い香りが開いていく様子を楽しんでください。

また、女性には泡盛カクテルもおすすめです。沖縄では毎年泡盛カクテルのコンペティションも行われており、その種類も豊富。飲みやすいロングカクテル、本格的なお酒の風味を楽しめるショートカクテル、その日の気分でバーテンダーにオーダーしてみるのも面白いものですよ。