「100年先も平和でありますように」
創業者の思いがこもった100年樽で泡盛を長期貯蔵する
豊かな自然に包まれた名護市許田に工場を構えるヘリオス酒造。「酒はその土地で獲れた作物でつくる」という創業者・松田正氏の思いで、1961年にさとうきびを原料としたラム酒づくりからスタートしました。その後、お酒を楽しむさまざまなシーンに応じるために、泡盛をはじめリキュール、ウイスキー、ビール、発泡酒の6種類の製造免許を取得し、個性的なお酒をつくり続けています。また、多くの人にお酒づくりの現場を見てもらうために、製造工場や樽と甕の貯蔵庫などを整備し、国内外からの見学者を歓迎しています。
見学しやすいように順路がつくられた清潔な工場には、泡盛の仕込みや貯蔵用の大きなステンレス製のタンクが並んでいます。中でも圧巻は、県内の酒造所で唯一使用しているという銅製の蒸留器。ウイスキーの製造では一般的に用いられているものですが、銅の成分による作用で、お酒に甘みが出やすくなったり、出来上がったお酒の熟成を促すなどの効果があるそうです。同社には1基で3000リットル蒸留できる蒸留器が3基並び、日々おいしい泡盛が生み出されています。
泡盛は、樽、甕、ステンレスタンクに貯蔵され、それぞれの味わいに育っていきます。現在、2600個ある樽は、ラム酒づくりに欠かせない樽を研究し、樽に適した樹木を確かめるために、北米やヨーロッパ各国へ出向いて原料から選び抜いたもの。もっとも相性がいいと選ばれたのが北米産のホワイトオークで、熟練の職人さんの手によってつくられた樽は泡盛の貯蔵にも活用されています。樽貯蔵では木もお酒も呼吸していて、10年間貯蔵すると10%ほどのお酒が蒸散するとされ、その分は「エンジェルシェア(天使の分け前)」と呼ばれています。
オーク樽で熟成された琥珀色の泡盛『くら』は、ロングセラーを続ける同社の代表銘柄。3年古酒や5年古酒ブレンドなど、多彩なバリエーションが用意され、敷地内にあるショップで限定販売されている3年古酒もあります。とりわけ『くら原酒12年』は、泡盛の原酒をオーク樽で12年間にわたって熟成させた逸品。オーク樽ならではの甘い香りと円熟した泡盛の旨味とコクが絶妙なハーモニーを奏で、ヘリオス酒造ならではの奥深い味わいです。天使と分け合って生まれた樽貯蔵の古酒を飲むと、幸せが訪れそうですね。
酒造所の名前の「ヘリオス」はギリシア神話で太陽神のこと。その名の通り、太陽のように明るい従業員の皆さんが、古酒蔵前に大集合。同社では自然環境保護にも配慮していて、工場で使う電気を風力発電と太陽光発電でまかなっているほか、古酒蔵の周囲などに植物を植えて、くつろぎの空間作りにも力を入れているそうです。手入れの行き届いた心地よいスペースは、訪れる観光客に喜ばれているだけでなく、ここで働く人たちの憩いの場にもなっています。
【酒造所名】ヘリオス酒造株式会社
【住所】名護市字許田405
【電話番号】0980-52-3372
【URL】http://helios-syuzo.co.jp