県内43軒の酒造所の泡盛を厳選してブレンド
それぞれの魅力が一つになって奥深い味わいを生み出す


2008年に設立された琉球泡盛古酒(くーす)の郷は、「悠久の時を刻み、沖縄の泡盛文化を発信」をキャッチフレーズに掲げ、古酒の奥深さと本物の味わいを販売・発信するためにつくられた協同組合です。泡盛を熟成させた古酒をたしなむのは、琉球王国時代から続く優雅な文化の一つ。その古酒の魅力を伝えることに賛同した県内43軒の酒造所の泡盛が、同組合に設置された大型タンクでブレンドされています。おいしい古酒として世に出ていくために、さらに5年間貯蔵され、独自の味わいへと熟成を進めています。

古酒の郷には、高さ10メートルほどもある約5.1万リットル入りのタンクが10基設置され、そのうちの8基に古酒が貯蔵されています。営業部長の嘉手川学さんは、ときどきタンクの上部から内部をチェックしていますが、そのときの様子を次のように語ります。「タンクごとに香りが異なる古酒に育っているのがよく分かります。バニラや黒糖のような甘い香りがするものもあれば、キノコのような香りやフルーティーな香りが立ちのぼるものもあります。それぞれのタンクの香りを確かめるたびに、つくづく古酒の奥深さを実感しています」

タンクの中で静かに時を重ねてきた古酒が、2018年、ついに商品化されました。今回発売されたのは2013年から貯蔵してきた5年古酒で、その名も『古酒の郷』。7軒の酒造所の古酒をブレンドして誕生したアルコール度数40度の新たなブランドで、多くの古酒ファンを喜ばせました。嘉手川さんは、9月4日の「古酒(クース)の日」に合わせた発売に向けて、我が子を送り出すような気持ちで瓶の洗浄や瓶詰め作業などを行い、満を持しての発売となりました。

同組合理事長の松田亮さんは、古酒の魅力を「古酒は王国時代から続く、琉球が誇る文化の一つです。かつて古酒は各家庭で丁寧に育てられ、大切な日に賓客にふるまう貴重なものでした。一般の泡盛のように水で割らず、ぜひとも古式にのっとった飲み方で味わってほしいですね」と熱く語ります。その飲み方は、小さなおちょこに注いだ古酒を舐めるように味わうこと。空気に触れるだけで、香りがどんどん変化していくのも古酒ならではの持ち味の一つなので、その香りを楽しむためにも、少しずつ丁寧に味わってもらいたいと言います。

 

「古酒は県民の宝です」と熱弁する松田さん(右)と嘉手川さん。古酒の芳醇さや奥深い味わいは、どうやって生まれてくるのか、これから研究を進めて、そのメカニズムを説き明かしていきたいと考えているそうです。今後も『古酒の郷』は発売されますが、前述したような理由から、今回のものとは異なる味わいが楽しめるので、次の発売にも期待が寄せられています。

 

 

【酒造所名】協同組合 琉球泡盛 古酒の郷
【住所】うるま市勝連南風原5193-27
【電話番号】098-939-6072
【URL】https://www.koshunosato.okinawa