原点は、高品質で美味しい泡盛を届けること
地域を大切にしながら100年企業を目指す
読谷村の長浜ビーチを見下ろせる小高い丘。残波岬は目と鼻の先。そんな絶好のロケーションに位置するのが比嘉酒造です。創業は1948年。創業者の比嘉寅吉氏はもともと教員でしたが、終戦後になかなか良質の酒が手に入れられず、メチルアルコール飲んで失明するような事件が多発したことを憂慮。安全で美味しい泡盛を提供したいという想いが募って一念発起し、泡盛作りの世界に飛び込みました。その後、「残波」というブランドを確立して様々なヒット商品を生み出し、2001年に現在の場所に拠点を移しました。
この本社工場は、とにかく規模が大きく、会社の勢いを感じることができます。蒸し器は2トンのものが8基、1トンのものが2基あり、18トンもの量を一気に蒸すことができます。麹棚も3トンの米が入るものが6台あり、製造から充填、ラベリングに至るまで多くの工程がオートメーションによって効率化されています。「でも、泡盛造りにはどうしても人間の五感が必要。機械に任せるところは任せますが、最終的には人間の感覚が頼りです」と、研究員の中村真紀さんは語ります。
比嘉酒造の泡盛の特徴といえば、大ヒット商品である「残波ホワイト25度」に代表される、フルーティーな香りと爽快な飲み口。女性にも人気のこのテイストを生み出す秘訣を聞いてみると、中村さんは少し困った表情で答えました。「よく聞かれるのですが、一概にこれというのがないんです。米の蒸し方、麹の育て方、発酵の温度など様々な要因が重なってこの味になる。あえて言うなら、造り手の意識を統一し、トータルで造り上げていくという感覚です」。
ホワイトと並ぶ定番の「残波ブラック30度」、近年人気の高い「残波プレミアム」、古酒ファンから高い評価を得た「残波1999」など、数々のヒット商品を生み出していますが、それも地域あってこそという考えは徹底しています。「私たちは読谷の人たちに育てられているので、この地域に恩返しをしていきたい。現在はテントやAEDなどを地元の施設に寄付している他、メタン発酵法という地球に優しい排水システムを取り入れるなど環境にも取り組んでいます」と、業務管理部の仲村有人さんも丁寧に説明してくれました。
比嘉酒造はメディアでの露出も多く、CMやイベントでの展開も目立ちます。こういったことは、読谷から泡盛の魅力を少しでも伝えたいという想いがあるから。そして、酒造所のみなさんが口を揃えて言うのは「後世につながるような仕事をしていきたい」ということ。100年企業を目指しながら、コツコツと泡盛を造り、広め続けていくのです。
【酒造所名】有限会社比嘉酒造
【住所】読谷村字長浜1061
【電話番号】098-958-2205
【URL】https://www.zanpa.co.jp