30年前から63度の古酒づくりに取り組んできた
日本最西端の島のいちばん西にある酒造所

 


石垣空港から飛行機で西へ約30分。与那国空港に降り立ち、さらに車で3分ほど西に走ったところにあるのが入波平酒造です。創業は1989年ですが、その前身は1949年に先代が興した入波平酒屋。その後、合名会社として国泉泡盛を立ち上げましたが、平成に入って独立。与那国島に3つある酒造所の中では最も新しい会社となったという歴史があります。2006年に現在の場所に移転し、古酒の貯蔵タンクや機能的な設備を備えた工場で泡盛づくりに取り組んでいます。

与那国島の言葉で親孝行を意味する『舞富名(まいふな)』が代表銘柄。ほんのり甘くフルーティーな味わいで、アルコール度数は30度、43度のほか、沖縄の本土復帰40周年記念につくられた65度があります。同じ銘柄でも度数が異なると、それぞれの味わいが楽しめることが実感できる品揃えです。左から2番目のラベルのモチーフは、与那国島に生息し県の天然記念物に指定されている巨大な蛾「ヨナグニサン」。左端の『ゆのん』は、古酒づくりに情熱を燃やした二代目社長亡き後、三代目が厳選した5年古酒です。

周囲を山と畑に囲まれた心地よい環境に建つ新しい工場。3階建ての建物は、作業しやすいよう高低差を生かした機能的な造りになっています。最上階に設置したタンクでつくった米麹を、パイプを使って中2階の仕込み用タンクに落としてもろみをつくります。タンクは2500リットル入りの大きさなので、エアを使って攪拌しますが、5年ほど前から製造を担当している平良毅さんは、タンク内の発酵の様子を確認しながら、長い櫂を使って毎日2回攪拌しているそうです。

2019年は同社が独立してちょうど30年となる年。先代が思いを込めて貯蔵した古酒も、貴重な30年物となります。アルコール度数63度の30年古酒は、世界中を探しても入波平酒造にしかない希少価値があるもの。準備ができれば注文に応じて出荷する予定とのことなので、その味わいに期待が高まります。瓶詰めされた後も熟成を続け、まろやかさに磨きがかかるのが泡盛の大きな魅力。今、スタッフの方の手で一枚ずつラベルが貼られている『舞富名』も、やがて芳醇な古酒へと変化を遂げるのです。

 

那覇から約500キロ離れた海に浮かぶ与那国島は、隣の台湾まで約111キロという近さ。まさに「国境」の島ですが、入波平酒造では『国境の銘酒・花酒』をキャッチフレーズに、おいしい泡盛づくりに励んでいます。また与那国島にある3つの酒造所では地域のイベントなどにも積極的に協力。毎年11月に行われる与那国島一周マラソンでは専用ラベルを貼った泡盛が、訪れる人々を歓迎してくれます。

 

 

【酒造所名】入波平酒造株式会社
【住所】与那国町字与那国4171-1
【電話番号】0980-87-2431
【URL】なし