泡盛をもっと身近に感じてもらうため
親しみやすい新商品を開発し続けていく


「当社は1952年創業なので歴史はありますが、既成概念にとらわれないようにしています。柔軟に新しいことにトライし、前に進むには、若者の力が必要なんです」と力強く語るのは、久米仙酒造の比嘉洋一社長。若い世代が一線で活躍し、そのセンスを生かした新商品開発にも余念がありません。リキュールなどにも業界でいち早く開発を手がけ、異業種との連携によるコラボなど、インパクトのあるヒット商品を生み出し続けてきました。しかしこういった新しいことができるのも、ベースとなる泡盛がしっかり作られているからこそです。

久米仙酒造が造る泡盛の特徴は、あっさりとした飲み口とフルーティーな香り。クセがなく飲みやすい泡盛にこだわっています。そのために、伝統の工法を踏襲しながらも、どうすれば飲みやすい酒になるのか試行錯誤してきました。結果、減圧蒸留と低温長期熟成にたどり着きました。原料の米や黒麹もひとつひとつ検証した上でこだわりを持って使用しているので、目指す味と香りがぶれることはありません。飲みやすい新酒を造るだけでなく、何年も寝かせて古酒になった時のことも計算しながら作業を行っています。

こういった丁寧な泡盛造りがある上で、久米仙酒造らしいユニークな商品も多数開発しています。そもそも会社が大きくなったきっかけのひとつが、これまでになかった鮮やかな緑色のグリーンボトルでした。これは、泡盛初の卓上ボトルとして大ヒットを記録しました。また、「ウイスキーに負けない泡盛を作りたい」という思いから始まった、バーボン樽醸造の「奴樽蔵」も若い世代を中心に飲まれるようになりました。そして、泡盛をコーヒーで割る人が多いことからヒントを得て開発した「泡盛珈琲」は、県外の女性を中心に人気が広まり、今では定番商品となりました。

最近では、タイ米ではなく熊本県産の米を使用した泡盛を研究。さらに、限定品ではあるのですが、北大東村のじゃがいもを使ったじゃがいも焼酎というのも開発しました。また、モンゴルに酒造所を開いた他、焼酎バーで「久米仙会」という泡盛を知ってもらうイベントを行うなど、他の酒造所がやらないことに次々とトライをし続けています。まさに、泡盛業界に大きな風穴をあける存在と言ってもいいかもしれません。

 

奇抜なことをやっているように感じるかもしれませんが、久米仙酒造の想いは泡盛をもっとたくさんの人に飲んでもらうこと。でも、いきなり古酒を飲むにはハードルが高いのが現状です。「だから、いろんなバリエーションを作ってとにかく少しでも泡盛に親しんでもらいたい。邪道と言われても、新しい商品を開発していきます」と、比嘉社長は熱く語ってくれました。久米仙酒造の泡盛を広めるための挑戦は、若いスタッフを中心にまだまだ続いていきそうです。

 

 

【酒造所名】久米仙酒造株式会社
【住所】那覇市仲井真155
【電話番号】098-832-3133
【URL】https://kumesen.co.jp