由緒ある琉球王府『首里城』のお膝元で、1887年に創業


首里城から徒歩約10分と近く、国内外の観光客や近隣の住人たちが多く訪れる瑞泉酒造。瑞泉という名前は、首里城にある泉に由来するもので、古くから清らかな水をたたえていることでも知られています。泡盛づくりに欠かせないおいしい水が豊富にあったことから琉球王府は首里三箇(鳥堀・崎山・赤田)だけに泡盛の製造を許可したという歴史があります。泡盛発祥の地で創業以来製造を続ける瑞泉酒造では、重厚な味わいの古酒から県産の素材を活用した泡盛ベースのリキュールまで、さまざまな嗜好に合わせた多彩な泡盛をつくっています。

瑞泉酒造の大きな特徴は、たくさんの古酒を貯蔵していること。甕がずらりと並び甘い香りがほんのり漂う古酒蔵では、専門の職人さんが毎月欠かさず古酒の状態を確認、撹拌して味をなじませるなどの手入れをして、おいしい古酒に育てています。その品質の高さは、平成に入って30年連続で泡盛鑑評会の優等賞受賞、さらに沖縄県知事賞を21回受賞という輝かしい実績が物語っています。またサンフランシスコ世界スピリッツ大会焼酎部門にて銀賞を受賞するなど、世界的にも認められた味わいが魅力です。

工場には、さまざまな泡盛の試飲ができるショップが併設されています。近年は、泡盛になじみのない人にも飲みやすい泡盛ベースのリキュールにも力を入れています。県産の柑橘かーぶちーを使用した『カーブチーリキュール』や、県産紅茶葉を使用した『宵の紅茶』等が人気です。また、パッションフルーツの香りが特徴のスパークリング泡盛リキュール『ZUISEN Legare』は、ウエディングや記念日などお祝いの席での乾杯酒として注目を浴びている商品です。

六代目代表取締役社長の佐久本学さんは、泡盛の魅力を次のように語ります。「琉球王国時代から続く、泡盛の文化や歴史的な背景を多くの方に知ってもらいたいですね。味わうだけではなく、各家庭で古酒を育てる楽しみがあること。例えばお子さんが生まれた年に泡盛を購入し、成人を迎えたお祝いの日に、子どもの成長と共に熟成された泡盛を家族とともに飲んでいただくなど、泡盛にしかできない良さを広めることも役割の一つだと思っています。そのためにもおいしい泡盛づくりにこれからも力を注ぎます」

 

現在、40名ほどの従業員が製造・販売に関わっています。右端の仲栄真工場長は「泡盛は麹のつくり方で味が決まります。瑞泉酒造では時間をかけて、しっかり黒麹菌をはやすことで独特の甘い香りの泡盛を生み出しています。古酒は、さまざまな貯蔵年数の仕次など、それぞれの味わいを香りとともにお楽しみいただけます」と語ります。また工場の2階にあるギャラリーには、歴代の泡盛など、他では見られない瓶や甕がぎっしりと並んでいます。1887年創業の同社の歴史の奥深さを実感しつつ、博物館気分で楽しめます。

 

 

【酒造所名】瑞泉酒造株式会社
【住所】那覇市首里崎山町1-35
【電話番号】098-884-1968
【URL】http://www.zuisen.co.jp