沖縄の大切な酒文化を継承していくのが使命
泡盛本来の味だけを追求していきたい


宮古島北西部に位置し、屈指の美しさを誇る砂山ビーチ。このビーチから程近い場所にある平良西原集落に、拠点を構えているのが池間酒造です。創業は1946年。現在は、二代目の池間太郎さんが代表を務めています。しかし、もともと池間さんは先代である父親の事業を継ぐ気が無かったと言います。「私はずっと沖縄本島で別の仕事をしていました。その後カナダで事業をする話が進んでいたのですが、その直前に家に戻ったら、両親が細々と酒造りを続けている。それを見て、家業を手伝おうと決意したのです」。

池間さんが池間酒造を引き継ぐことになった昭和40年代から50年代は、「泡盛なんて臭くて飲めない」といわれることの多い時代でした。そこで、香りが豊かで甘みがあって、のど越しが良い酒を作ることに専念します。米の蒸し方を一から実験し、試行錯誤しながら米と麹の相性を研究。低温発酵にこだわり温度管理を徹底するなど、旨い酒造りのために努力を惜しみませんでした。また、古くからの製法は大切にしながらも、機械を導入し効率化を図っていきました。

そうして開発されたのが、看板商品となった「太郎」です。これは池間さん自身の名前を取っただけでなく、わかりやすいネーミングを意識したのが理由。ラベルは京都の著名な書家に依頼し、インパクトのあるラベルデザインを生み出しました。また、その後開発した「ニコニコ太郎」は、その名の通り笑顔で飲んでもらいたいという想いを込めた商品。酒販店だけでなく飲食店に直接営業することで、一時期は宮古島の歓楽街に「ニコニコ太郎」ブームを巻き起こしました。

このような取り組みが認められ、国内外で数々の賞を受賞しましたが、池間さんは基本を忘れることはありませんでした。「先代が作り続けてきた瑞光というブランドがあるのですが、こちらは10年以上の古酒にこだわりました。池間酒造の酒は、何よりも酒造所がある西原の土地が育ててくれたようなもの。地域の誇りと思ってもらえるような酒造りを続けるには、手間暇をかけて丁寧にやるしかないんです」。池間酒造は大規模な酒造所ではありませんが、それでも宮古島で支持されているのは、やはり地元を大切にしている気持ちが強いからでしょう。

 

 

池間さんに今後の商品開発の可能性について伺うと、大きく首を横に振りました。「リキュールなどの開発をして若者に受け入れられるのは。それはそれでいいと思います。ただ、基本の泡盛造りをおろそかにするわけにはいかない。私たちは、先祖から伝わる味を守り、沖縄の酒文化をしっかりと継承するべきです」。新酒の「太郎」と古酒の「瑞光」という2つの銘柄にこだわり、地に足のついた酒造りを続けていきたい。それが、池間酒造の想いなのです。

 

 

【酒造所名】池間酒造有限会社
【住所】宮古島市平良字西原57番地
【電話番号】0980-72-2425
【URL】なし