マイナスイオンを活用した電子技法を取り入れ
飲んだ人が元気になれる泡盛をつくる

 


糸満市座波で1947年から泡盛をつくり続けている上原酒造。酒造所近くには、古くから周辺の人たちの暮らしを支えてきた湧き水があり、その水源に感謝を込めてつくられる泡盛が、同社の代表銘柄『神泉(しんせん)』です。このほか、海人(うみんちゅ)の町として知られる糸満の青い海をイメージさせる『群青』のほか、糸満最古の酒造所として地元への愛を込めた『いとまん』などの銘柄があります。いずれも口当たりがよく、まろやかな甘みのある泡盛として、県内外で人気を集めています。

上原酒造の大きな特徴は、泡盛業界で初めて電子技法を採用したこと。これは1994年に導入したもので、電子発生装置を利用して原材料にマイナスイオンを付加する方法。敷地内の10ヵ所に備長炭を埋め込み、弱った土地をイオンの力で活性化させています。原料の米に電子を供給すると、米の持ち味を最大限に生かせるようになるそうです。さらに写真の電子水製造タンクで分子を細かくした水を全工程に使用。この技法により、たくさん飲んでも二日酔いしにくい泡盛がつくれるということです。

同社では工場のほか、貯蔵施設などすべてのエリアに電子チャージャーがつくるマイナスイオンが満ちています。古酒貯蔵タンクの上にもイオンのシャワーが降り注ぐため、まろやかな古酒ができるそうです。イオンの効果は人にも影響を与え、工場見学に訪れた人の中で、工場内を歩いているうちに体調がよくなったという人もいるほど。また、この技法を導入してから、まろやかでおいしい泡盛がつくれるようになり、県知事賞の受賞にもつながったといいます。

『神泉』をはじめとする同社の泡盛は観光客に人気があり、売り上げの9割ほどは県内のホテルや土産品店などが占めています。リピーターも多く、沖縄旅行で初めて上原酒造の泡盛を飲んだ人がネットや電話で注文する機会も増えているそうです。また、同社の泡盛は水の分子が小さく、果実などへの浸透力が強いことから、自社の泡盛を使った果実酒づくりも勧めています。シークヮーサーやパイナップルなどを漬けると、果実に泡盛がぐっと入り込み、素材の持ち味が発揮されたおいしい果実酒になるのが特徴です。

 

 

社長も含めた5名で泡盛づくりに取り組んでいる上原酒造。常においしい泡盛づくりを考え、新しいことも積極的に取り入れるという三代目社長の上原長榮さん(左から三番目)。電子技法も上原さんの発案で導入したそうです。「古くから炭は社寺仏閣の敷地に埋められ、土地を清めていたといわれています。これを知ったとき、体によくておいしい泡盛をつくれるのではないかとひらめき、すぐに採用したんです。酒は百薬の長ともいわれていますが、これからも飲んだ人が元気になる泡盛をつくっていきたいですね」と上原さんは笑顔で語ります。

 

 

【酒造所名】上原酒造株式会社
【住所】糸満市字座波1061
【電話番号】098-994-6320
【URL】http://uehara-awamori.jp