古都・首里最古の蔵元として伝統製法を守りつつ
先進的なお酒づくりにも積極的に取り組む

 


瑞穂酒造の創業は、琉球王国最後の王である尚泰王の即位の年と同じ1848年。王国時代、泡盛は貴重なお酒として王府の管理下にあり、首里三箇と呼ばれる3つの町(鳥堀・崎山・赤田)でしかつくることができませんでした。瑞穂酒造はその町の一つ、鳥堀で誕生した現存する首里最古の蔵元です。先人から受け継いだ教えを忠実に守り、王国の伝統文化を今に伝える貴重な酒造所。とりわけ古くから伝わる仕次(しつぎ)という手法で熟成させる古酒の味には定評があり、心を潤す気品ある泡盛づくりを続けています。

「古酒は沖縄の宝もの」という言葉を大切に、心をこめて丁寧に泡盛をつくっています。3年以上熟成させた泡盛のみが古酒と呼ばれ、その芳醇な香りや、まろやかさが貴重な存在として知られていますが、かつて家庭で育てるものだった古酒をいち早く商品化したのが瑞穂酒造。伝統的な甕貯蔵をはじめ、ステンレスタンクやホーロータンク、地下タンク、樽で熟成させた多彩な古酒がそろっているのも魅力です。上質な古酒に育つ泡盛づくりに欠かせないもろみの温度を入念に管理し、毎日タンクの様子を確認しながら攪拌作業を行います。

黒麹菌や酵母といった微生物の働きによってつくられる泡盛は、香りや味わいに微妙な違いが生まれます。安定した品質を守るため、出荷前に味はもちろん、香りやなめらかさなどを厳しくチェックするテイスティングを実施。製造部部長の大城博明さん(写真)は、口に含む前にグラスを傾けて、とろみや色も確認しています。「体調によって感じ方が変わらないよう、ふだんから健康管理には気を遣っています。テイスティングは5名が担当し、全員がOKしたものだけを瓶詰めして、皆さんのお手元にお届けしています」と話してくれました。

四代目の玉那覇有義さんが、酒蔵に龍が舞い降りる夢を見たことから築かれたという「天龍蔵」。建物の地下には泡盛を低温で貯蔵するタンクがあり、室内はショップとして活用されています。棚には限定販売の泡盛を含めた商品がずらり。アルコール度数や貯蔵年数の異なる多彩な泡盛と古酒のほか、泡盛リキュールなどもあり、試飲も可能。好みの味を探し出す楽しみに満ちています。また先々代がタイで購入したという南蛮甕をはじめ、風格のある古酒甕が陳列されたコーナーは、見ているだけで歴史の重みを感じさせられます。

 

伝統を重んじる一方、新しいことにも積極的にチャレンジする瑞穂酒造。酵母の開発にも注力していて、沖縄のヒカンザクラの花からつくった「さくら酵母」で仕込んだ泡盛も製造しています。さらに、その泡盛をベースに誕生させた『ジャパニーズクラフトジンORI-GiN1848』は国内外で大きな話題を呼びました。ほかにも53度の原酒を用いた中国向けの「沖縄白酒『王国貢酒』」を発売するなど、新商品の開発にも真摯に取り組んでいます。また地元の人に喜ばれたいと毎年開催している「みずほ天龍蔵祭り」は、多くの人が参加する恒例のイベントです。

 

 

【酒造所名】瑞穂酒造株式会社
【住所】那覇市首里末吉町4-5-16
【電話番号】098-885-0121
【URL】https://www.mizuhoshuzo.co.jp