泡盛古酒の文化を守り育て、発信する
沖縄県酒造協同組合ならではの良質な古酒造り


那覇市の沖縄県酒造協同組合は、県内酒造所(組合員)が生産する泡盛を仕入れ、それらを長期貯蔵・熟成させることで良質な「古酒」を県外に安定的に移出することを目的とし、1976年に本島・離島を含む46カ所すべての酒造所が参加して設立されました。原料となるタイ米や瓶、キャップなどの資材類を共同購入し酒造所をサポートする一方、独自のブレンド技術で商品を開発。泡盛鑑評会で県知事賞を15回受賞するなど、国内外で高い評価をうける古酒「海乃邦」をはじめ、「紺碧」、一般酒の「南風」(なんぷう)などを展開しています。

工場の中には、2階建てのビルに相当する高さのステンレスタンクがびっしり。ここで仕入れる泡盛の原酒は、大学教授や酒類鑑定官など酒の専門家で構成する“酒質審査会”の審査をクリアしたものだけ。そんな選りすぐりの良質な原酒をブレンドし、管理しているのが工場長の石川洋さんです。原酒はそのまま保存するのではなく、ブレンドしタンクで貯蔵。タンクもそのままではなく、一定期間がすぎるとわざわざ別のタンクに中身を移動させます。「経験値としてですが、ただ寝かせておくよりも動かしたほうが味は良くなりますね」

「まぜる原酒が多ければ多いほど、まろやかさや複雑さが増して味に深みがでます」と石川さん。驚いたことに、「海乃邦」や「紺碧」にはベースとなる泡盛があるわけではないといいます。「どの酒造所からどれくらい入ってくるかというのは時期によって異なりますからね。仕入れたときの泡盛の具合をみて、これは5年後、これは10年後に使えるようにと考えながら貯蔵します」。原酒の個性を見極め、商品になったときに一定の味わいになるよう、石川さんたちは日頃の泡盛の管理と研究を決して怠りません。

様々な蔵元の泡盛が集まる利点を生かして、新たな商品の開発にも力を入れています。2018年には県内初となる46全酒造所の泡盛をブレンドした「いちゃゆん」(沖縄の方言で「出会う」という意味)を数量限定で発売。全蔵元が参加するという全国的にも例のない商品は、そのおいしさだけでなく、取り組みのユニークさもあいまって大きな話題となりました。沖縄だから、泡盛だからこそできる商品開発です。

 

「良質な泡盛古酒を数多く保有していますが、一番古いものは組合設立時に仕込んだ41年ものです。50年、60年と大切に寝かせ、できれば100年古酒として残したいですね」と専務理事の武田智さん。敷地内には、発酵学の権威であり「酒の神様」といわれる東大名誉教授・坂口謹一郎先生が1970年に発表した論文「君知るや名酒あわもり」の言葉が刻まれた石碑があります。沖縄独特の黒麹菌を使って生まれる泡盛のすばらしさを、もっともっと広めるために。沖縄酒造協同組合ならではの良質な古酒を造り続けます。

 

 

【酒造所名】沖縄県酒造協同組合
【住所】那覇市港町2-8-9
【電話番号】0120-43-9492
【URL】http://www.awamori.or.jp