質量ともに充実のラインナップを目指す
新商品開発にも積極的な沖縄最古の蔵元


沖縄で最も歴史のある酒造所。そう言われているのが、沖縄市にある新里酒造です。創業は1846年。琉球王国の時代に、首里に住む30人の職人が酒造りの許可を得ましたが、そのひとりが創業者の新里蒲氏でした。当時は王族や中国からの使節を接待するための酒だった泡盛ですが、廃藩置県後に一般でも飲まれるようになり、戦争時の中断を経て再開し、1988年に沖縄市に移転。「琉球」や「かりゆし」といった定番銘柄を生み出し、2006年うるま市州崎に新工場を建設。現在は七代目の新里建二さんが代表取締役を務めています。

新里酒造の泡盛の特徴は、すっきりとした味わいとフルーティーな香り。そのために、蒸し時間が難しい丸米を使い、低温発酵と低温蒸留によって味や香りを調整しています。また、蒸留には常圧と減圧の2方式を使い分け、それらをブレンドすることによって、旨みやコクを引き出しています。「昔はアロマドライと言って香りがよくてキレがいい酒をうたっていたのですが、今はもう少し甘めの酒の方が受けるので、少しずつ変えているところです」と、新里社長は時代の変化にも柔軟に対応しています。

商品開発に関しても、この柔軟性は生かされています。とにかくバリエーションが多く、一般酒や古酒の種類も度数や貯蔵年数によって様々な商品が造られています。近年では瓶だけでなく、スーパー向けの紙パックやコンビニなどで売られているワンカップ、キャンプやビーチパーティーなどに持って行きやすいペットボトルなども売れ筋。また、リキュールにも力を入れており、コーヒー、梅、シークヮーサー、パッションフルーツなど種類も豊富です。

このような商品開発力が買われて、県内のスーパーやコンビニなどからはプライベートブランドでのオーダーも多数受けています。「そのためにバイヤーにも納得してもらえる工程や管理を行っています。例えば、充填室に行くまでに7カ所も扉を通りますし、クリーンなエアを注入して虫やゴミが入らないように気をつけています」と衛生管理にも非常に気を使い、高品質の商品造りを徹底しています。機械化にも力を入れており、温度管理などを正確に行うための設備投資も充実しています。

 

「沖縄最古の蔵元ということに甘えてばかりいられません。海外も含めて、消費者のニーズにあった酒造りをしていかないといけない」と語る新里社長ですが、その一方で昔から支えてきてくれた地元へ目を向けることも大切にしています。例えば、全島エイサーやピースフルロックフェスティバルといった地元沖縄市のイベントへの協力も惜しみません。歴史や文化を重んじつつも、新しい酒を生み出す。そこに新里酒造が長く続いてきた秘訣があるのかもしれません。

 

 

【酒造所名】新里酒造株式会社
【住所】沖縄市古謝3-22-8(本社工場)/うるま市州崎12-17(州崎工場)
【電話番号】0120-413-166
【URL】http://www.shinzato-shuzo.co.jp